私たちは岡崎体育の「感情のピクセル」を笑えない
盆地エモ
マーケターとして十分に食っていけるんじゃないかと思う。岡崎体育と寿司くん。
公開から2日で100万再生越えを達成し、急上昇ランキングでも1位を記録し、上々な滑り出し。
歌詞は本当によく考えてふざけられていて、メロディはキャッチーなので、思わず歌ってしまう。うんぱっぱーのやっほー。近所のコンビニ行くときにも口ずさんでしまったけれど、心が少し壊れてしまった人みたいに見えたんだろうな。
でも、この文章を書いてる横で、家の下の道を、「わんわんわん」って、どう聞いても人の声が通り過ぎて行ったので、本当に心が壊れてしまったら、言語体系も変わってしまうのかもしれない。
他方、曲は結構格好いい。日本の「そこそこ人気のエモバンド」っぽい。ギターとアレンジはPay money To my PainのPABLOが参加しているし、本気でエモをやりにきているのはヒシヒシと伝わってくる。
完成度が高いからこそ笑えない
で、本題。完成度が高いからこそ笑えないのである。いや、正確には笑ってしまったんだけど、笑った後で胸が痛くなるというか、心の底から笑えないのである。
無論、エモをディスっているように見えるから、というわけではない。(これについては岡崎体育もツイートしているし)
なんか、ラウドロックシーンをディスってるやんけみたいな書き込みとかつぶやきめっちゃあるけど
— 岡崎体育 (@okazaki_taiiku) 2017年5月12日
ディスってたら半年かけて曲書いたりMV撮影したりしようとは僕は思わないです。
子供の頃から音楽を聴きこんで研究してきた自負はあります。多分誰よりも。
それじゃ、なんでかって話になるんだけれど、エモバンド側の心境を想像してしまうから。ずっとエモだけでやってきて、そこそこ売れてるバンドまでなってきたのに、今までテクノやってた知らない奴が突然やってきて、同じレベルのクオリティを出してきた。
やってられないでしょ。積み上げてきたものが一気に持っていかれる訳じゃないですか。しかも全然外野から。後輩のエモバンドが売れていくよりよっぽどきついんじゃないかって。
で、こういう理不尽なことって日常にあるわけで。たまにいるでしょ、圧倒的なセンスとか知性とか才能とかでこっちが積み上げたものをポーンと越えて行く奴。本当にすごいし、敬意も払うし、こっちも負けじと追っていくんだが、やっぱりちょっと胸は痛んでぽきっといくじゃん。私は心が弱いので、すぐ凹む。2mmとか先いかれただけでも凹む。
あるいは、3年間遊びもせずコツコツと勉強していた人の成績を、青春を謳歌していた奴が受験期になってさらっと越えて行くようなものだと思う。
しかも、エモバンドたちの曲より、岡崎体育の曲の方がPVも伸びている。
これって、コツコツしてたのは結局大学落ちて、クソ野郎は東大受かっちゃうような感じ。僕は後者です、本当にすみません。
ま、でもより良いものが出ちゃったらそれは仕方がないし、より良いものを出せる方が強いんだから、岡崎体育はやっぱりすごいな、と。
事象が変われば、おんなじ現象は、明日は我が身に起こるかもしれないし、あるいは、読んでいるあなたに起こるかもしれない。あるいは、起こしていけるかもしれない。
どちらにせよ、身を絞りながら生み出していくしかないな、と。願わくば、起こす側でいたい。
おやすみなさい。