深夜一時の熱狂
脳内に焼きついて離れない表現に、1年前のandymoriのライブがある。
あれは恵比寿のライブハウスだった。薄暗い照明の中、彼らのアクトへの期待と解散してしまうことへの悲しみがフロアを包んで、いつものアクトの待ち時間とは違う、高校最後の文化祭のような、そんな時間が流れていた。
照明が落ちて、彼らがステージに出てきた。
詳細な記憶がそこからは無い。
めまぐるしく景色と音が変わっていって、ステージの上で音楽をする彼らがなんだかマボロシのように思えてきた。彼らの立ちずまいに迫力があったわけではなかったのに、どこか夢の中に空間ごと迷い込んでしまったかのような、そんな感じだった。原風景としての夏の終わり、のような。
ろうそくの炎は、消える瞬間に、人一倍強く燃え上がるという。
「ビートをくれよ、もっともっとビートをくれよ。」フロアの誰かが叫んだ。その声は恍惚と非痛が混じった叫び声だった。彼はそれに笑顔と、すごい速さで駆け抜けていくギターで応えた。「愛してやまない音楽を」彼らは、そして僕らも、奏でていたように思う。肉体を離れて、僕らは踊っていた。シンセミアを吸った時はもしかしたら、こんな感じなのかもしれない。
帰り道も浮いた足と頭で、僕らは渋谷へ行って、お酒を飲んだ。ああ、そういえば小雨が降っていたんだ。この季節、あの匂いがするたびに僕はきっとずっと思い出すのだろう。こびりついてこびりついて、感傷中毒の僕の耳元に語りかけてくるのだろう。
最高だ。